課長に恋するまで
 恋心をはねつけるように、課長の左手の結婚指輪が目に入る。
 
 課長が見てるのは奥さんだけ。

 勘違いしたらいけない。私の事は部下として信頼しているだけだ。 

 どんなに一緒にいる時間が増えても何も変わらない。

 息をついて、窓の外を眺めた。
 くっきりとした青空が眩しい。
 夏が近づいてる。

 この仕事が終わったら平野さんの気持ちに応えよう。
 そして寿退社して、課長を忘れよう。

 課長と過ごす最後の時間だ。
 部下として課長を支えよう。
 
 私の最初で最後の恋だ。

「わかりました。頑張ります」
< 173 / 247 >

この作品をシェア

pagetop