課長に恋するまで
「課長」

 今度は耳の近くで声を掛けるけど、やっぱり寝てる。
 課長も大変なんだな。
 疲れが出たのかな。

 無防備な課長の寝顔が微笑ましい。
 こんなに可愛い顔して寝るんだ。

 ちょっとだけいいよね。

 課長に近づいて、頬にそっと触れた。
 だけど課長は起きない。
 眠りは思ったより深そうだ。

 閉じた二重の瞼、通った鼻筋、それから上唇と下唇がきちんと閉じた唇。
 視線がそこで留まる。

 キスしたい。

 衝動的に思った。
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