課長に恋するまで
「社食やってないのかよ?」 
 石上が社食の前まで来た。

「えー、やってないんですか」
 間宮も一緒だった。

「メンテナンスで休みらしいですよ」
 課長が石上と間宮に言った。

「今から一瀬君おすすめの定食屋に行こうと思うけど、来ますか?」
 課長が二人に言った。
 その言葉に少し驚いた。課長、行く気になってくれたんだ。

「ご一緒します」
 間宮が真っ先に言った。

「社食やってないんですか」
 その後も三人うちの課の人たちが来て、困ったような顔をした。

「君たちも定食屋どうです?」
 課長が自然な感じでうちの課の人たちに声をかけた。
 無表情で怖い感じがしたけど、課長は意外と面倒見がいいのかも。
 ちょっとだけ課長に好感が持てた。

「じゃあ、一瀬君案内お願いします」

 課長に言われ、石上と間宮を含めた六人を連れて定食屋に向かった。
 六人の先頭を歩く事になって照れ臭くなる。

 こんな風に会社のみんなを案内した事はなかった。
 みんなの視線を背中に感じて、緊張しながら歩いた。
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