課長に恋するまで
 その夢には一瀬君が出て来て、一緒に仕事をしていて、ふと見つめ合う瞬間があって、それでそのまま……。

「課長、大友百貨店の件はどうしますか?」

 ハッとした。
 目の前に石上君がいて、オフィスにいた。
 少しぼんやりしていたようだ。

「すまない。もう一度話して下さい」

 石上君が一瞬、険しい表情を浮かべた。

「課長、休息取れてますか?」

 土日もない。とはさすがに言えない。
 だけど今週末は休もう。職場でぼんやりするなんて危ない。
 この間もうっかり、一瀬君の横で居眠りをしてしまった。

「心配してくれてありがとう。大丈夫です」
 
 ふと一瀬君の方を見ると、彼女は席にいなかった。
 今日は店舗の内装工事の打ち合わせがあると言っていた。

 帰って来るのは夕方になるだろう。
< 183 / 247 >

この作品をシェア

pagetop