課長に恋するまで
 葵との電話が終わって、ソファから一歩も動けなかった。
 
 洗濯物を取り込まないと。

 そう思うが、立ち上がれない。

 いつか嫁に行くとは思っていたが、まさかこんなに早いとは思わなかった。

 でも、葵ももう24才なんだ。
 そういう年なんだ。
 
 自分が25で結婚した事を考えれば不思議な事ではない。

 だけど、結婚するのか……。

 夕焼けに染まるベランダの洗濯物が妙に哀愁たっぷりに見える。

 寂しいな。

 ふと、一瀬君の顔が見たくなった。
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