課長に恋するまで

パーティーと一瀬君

　7月、横浜にある紡績メーカー主催のパーティーに招待された。

　招待客2000人規模のパーティーで、アパレル業界に関わる人間が、その夜、横浜の洋館に集まる事になっていた。

　という話を銀座のクラブでゆかりちゃんにしたら、目を輝かせて「素敵ー！」と言った。

「横浜の洋館でパーティーなんて素敵過ぎる！女性同伴で参加なんでしょ？上村さん、どなた連れて行くの？」

　ゆかりちゃんに甘えるように見つめられる。
　真っ先に浮かんだのは一瀬君だ。しかし、彼女は今、レイ・リーの出店準備で忙しい。
　パーティーがあるのが土曜の晩だったから、休日に出て来てもらうのも悪い気がして声を掛けていなかった。

　だから、ゆかりちゃんにこの話をした。

「ゆかりちゃん、急だけど今週の土曜の夜は空いてますか？」
「空いてまーす！」

　ゆかりちゃんが上機嫌に微笑んだ。
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