課長に恋するまで
 じっと一瀬君の顔を眺めてると、ぱっちりと目が開いた。

「課長ー!がんばりましたよー、私、すっごいがんばったんですよー」

 目が合うと一瀬君が子どもみたいな顔をして言った。

「そうだね。よく頑張ったね」
「レイ・リーも褒めてくれたんですよ。世界的なデザイナーからめちゃくちゃ褒めてもらったんですよ」
「良かったね」
「課長に無茶ぶりされて、開店まで生きた心地しませんでしたよ。課長のパートナーとしてやって欲しいって言っといて、ほとんど任せきりだったじゃないですか」
「ごめん、ごめん。一瀬君がよく出来るから、余計な口を出さない方がいいと思ったんです」
「もう、だまされたーって思いましたよ」
「すみません」
「悪いって思うならご褒美下さい」
「ご褒美?」
「頭、なでなでして下さい」

 可愛すぎる要求に笑ってしまう。

「なんで笑うの?」
「すみません。一瀬君が可愛くて」
「私、かわいいですか?」
「可愛いですよ」

 にゃははと一瀬君が幸せそうに笑った。
 その笑顔に癒される。
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