課長に恋するまで
 レイ・リーの店に行くと店長の高橋さんが声を掛けてくれた。
 今日もお店は混雑してて、忙しそうだった。

 お客さんがわくわくとした表情でレイ・リーの服を見てくれるのは嬉しい。
 あー、これ、素敵。かわいいー。なんて声があちこちで聞こえた。

 大変だった四か月が一年以上前に思える。
 今思えば充実した毎日だった。

 毎日表参道に通って、高橋さんと一緒に他のスタッフの面接をしたり、レイ・リーの担当者と意見の相違で揉めたりしたけど、みんなプライドを持って、自分の仕事をしていた。
 決して平たんな道ではなかったけど、トラブルを一つずつ乗り越えて行った。
 
 課長が見守ってくれてたから、頑張る事が出来た。

 高橋さんと話しながらそんな事を思い出した。

 胸が熱い。

 感情が昂って泣きそうになった。
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