課長に恋するまで
「そんな事……ない」
「悲しいぐらいみーちゃんの嘘がわかるよ」
「嘘なんてついてません」
「じゃあ証明できる?」
「証明?」
「……僕に抱かれる勇気ある?」

 息を飲んだ。

 いきなり聡さんとそんな展開になるとは思わなかった。
 でも、結婚するんだから当たり前だ。

「やっぱり無理かな?」

 寂しそうに聡さんが視線を伏せた。
 そんな顔をさせて申し訳なくなる。
 
 いつか間宮に言われた事を思い出す。
 体の関係があれば好きになる事もあるって。

 聡さんとそういう事をすれば、課長への想いも断ち切れるかもしれない。

「行きましょう。ホテル」
 覚悟を決めてそう言った。
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