課長に恋するまで
　かず君とWillで遊んだ。
　卓球のゲームで、テレビ画面に向かって、リモコンをラケットのようにして打ち合った。
　最初は遠慮しながらやっていたけど、かず君に負けて熱が入る。
　何度やってもかず君に勝てない。

「ねえ、かず君、もう一回やろう」

　そうお願いして試合をしてもらうけど、また負けた。

「ねえ、かず君、もう一回」

　と言った所で、「二人ともご飯よ」と鈴木さんに声をかけられた。

　一時間近く、卓球のゲームに夢中になってた。
　リビングのテーブルの上には料理が並んでいた。
　ハンバーグ、コンソメスープ、サラダ。それからご主人お手製のマルゲリータピザ。
　私が持って来たチーズと赤ワイン。

「鈴木さん、お手伝いしなくてすみません」
「いいのよ。一瀬ちゃんはお客さんなんだから」
「いちのせちゃんの隣がいい」と言って、かず君は隣に座ってくれた。

　テーブルを挟んだ向かい側にご主人と鈴木さんが座った。
　ご主人と並ぶ鈴木さんは会社にいる時よりもくつろいだ表情を浮かべている。
　
　鈴木さん、いい顔してるな。
　ご主人の事好きなんだな。

「いただきます」

　みんなで声を合わせて言った。
　家族の食卓って感じがしてとっても温かい。
　呼んでもらって良かった。
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