課長に恋するまで
「一瀬さん、その節はご迷惑をおかけしました」
そう言って、ご主人がワインを注いでくれた。
「銀座のクラブまでわざわざ行ってくれたそうで」
ご主人が申し訳なさそうに立派な眉の眉尻を下げた。
出張だと嘘をついてご主人が会社を休んだ件だ。
ゆかりさんの名刺が出てきて、鈴木さんは浮気だと思って落ち込んでた。それで私はゆかりさんに会いに行った。
「いえいえ」
「きょうちゃんがホステスの名刺なんか大事に持ってるのが悪いんだから」
鈴木さんがご主人に突っ込む。
ご主人の事、きょうちゃんって呼んでるんだ。
「大事にしてた訳じゃねえよー。財布に入れっぱなしだっただけだよ」
「そもそも、出張だって嘘つくのがいけないんだから。面接に行くなら行くって正直に言ってくれれば良かったのに」
「大阪の会社に面接に行くって、言いづらかったんだよ。優美《まさみ》に怒られると思って。家のローンとかあるし、引っ越しなんてありえないって言うだろ?」
「怒んないよ。嘘つかれる方がイヤ。もうっ、本当にあの時は心配したんだから。心配で心配で二キロ痩せちゃったんだから」
「いつも痩せたいって言ってんだから、良かったじゃないか」
「むっきー!良かっただとー!」
鈴木さんとご主人の言い合いが続く。
ケンカってよりも、慣れ合いに見える。
仲良しなんだな。
そう言って、ご主人がワインを注いでくれた。
「銀座のクラブまでわざわざ行ってくれたそうで」
ご主人が申し訳なさそうに立派な眉の眉尻を下げた。
出張だと嘘をついてご主人が会社を休んだ件だ。
ゆかりさんの名刺が出てきて、鈴木さんは浮気だと思って落ち込んでた。それで私はゆかりさんに会いに行った。
「いえいえ」
「きょうちゃんがホステスの名刺なんか大事に持ってるのが悪いんだから」
鈴木さんがご主人に突っ込む。
ご主人の事、きょうちゃんって呼んでるんだ。
「大事にしてた訳じゃねえよー。財布に入れっぱなしだっただけだよ」
「そもそも、出張だって嘘つくのがいけないんだから。面接に行くなら行くって正直に言ってくれれば良かったのに」
「大阪の会社に面接に行くって、言いづらかったんだよ。優美《まさみ》に怒られると思って。家のローンとかあるし、引っ越しなんてありえないって言うだろ?」
「怒んないよ。嘘つかれる方がイヤ。もうっ、本当にあの時は心配したんだから。心配で心配で二キロ痩せちゃったんだから」
「いつも痩せたいって言ってんだから、良かったじゃないか」
「むっきー!良かっただとー!」
鈴木さんとご主人の言い合いが続く。
ケンカってよりも、慣れ合いに見える。
仲良しなんだな。