課長に恋するまで

 課長が受け止めてくれた。
 あの朝と違って後ろから抱きしめるような恰好になった。

「大丈夫?」

 耳元で課長の声がする。

「は、はい」

 鼓動が早くなる。
 距離が近い。
 課長の匂いがする。

「そそっかしいな。これで二度目だよ」

 課長の言葉にハッとした。

「二度目って……」

 課長の顔を見ると悪戯を企む子どものように笑った。
 課長、気づいたんだ。

「さあ、帰ろう」

 課長が歩き出した。
 課長の背中を追いかけるように階段を上った。
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