課長に恋するまで
 オフィスにそっと入ると、もう朝のミーティングが始まってる。
 係長と課長が前に立ってた。
 
 気配を消して、自分の席に移動すると、今朝は自分の席にいた石上に睨まれる。石上の席は隣だ。
 向かいの席の間宮が大丈夫ですか?という気遣うような視線をくれた。
 うん。大丈夫と頷くと、突然みんなの前で呼ばれた。

「一瀬君」

 呼んだのは課長だ。
 ひやっとした。

「はい」

 みんなの視線が集まる。

「昨日の中国からの荷物の件について説明をして下さい」

 いきなりふられて心臓が縮む。

「今ですか?」
「はい。課のみんなと情報を共有しといた方がいいと思いますので」

 前の課長はそんな事はしなかった。

 鬼だよ。この人。

 あわあわしてると、石上にさらに睨まれた。

「えー、では、昨日の件についご説明します」

 しどろもどろになりながら荷物が遅れた経緯について説明した。

 説明が終わると「一瀬君、ありがとう」と課長が言ったが、目は怒ってるように見えた。
 課長が怖い。不安になる。
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