課長に恋するまで
雨宿りと恋のはじまり
課長とカウンター席に並んで座った。
向かい合って座るより、隣の方が緊張しない。
課長は私の買って来たコーヒーを飲みながら、外を眺めていた。
鼻筋の通った横顔で、よく見ると課長がカッコイイ事に気づく。
「課長って、おいくつなんですか?」
何となく年齢が気になった。
「45。おじさんでしょ」
課長が口の端を上げた。
「一瀬君は?って、女性に年齢を聞くのは失礼ですね」
「いえ、あの、26才です」
「若いね」
「若いですか?」
「うん」
「なんか、若いって久しぶりに言われました」
課長の左手が視界に入った。薬指には銀色の結婚指輪があった。
「課長は26の時、もう結婚してました?」
「してましたよ。結婚したのは確か」
課長が遠くを見るような目をした。
「25才の時でした」
「それ、私の理想の年齢です」
「理想の年齢?」
課長が不思議そうにこっちを見た。
「実は25才で結婚して寿退社して、家庭に入るのが夢だったんです。友だちとそういう話をしてて」
紀子の事が浮かんで、胸が苦しくなる。
「友だちはその夢を叶えたけど、私は無理でした」
向かい合って座るより、隣の方が緊張しない。
課長は私の買って来たコーヒーを飲みながら、外を眺めていた。
鼻筋の通った横顔で、よく見ると課長がカッコイイ事に気づく。
「課長って、おいくつなんですか?」
何となく年齢が気になった。
「45。おじさんでしょ」
課長が口の端を上げた。
「一瀬君は?って、女性に年齢を聞くのは失礼ですね」
「いえ、あの、26才です」
「若いね」
「若いですか?」
「うん」
「なんか、若いって久しぶりに言われました」
課長の左手が視界に入った。薬指には銀色の結婚指輪があった。
「課長は26の時、もう結婚してました?」
「してましたよ。結婚したのは確か」
課長が遠くを見るような目をした。
「25才の時でした」
「それ、私の理想の年齢です」
「理想の年齢?」
課長が不思議そうにこっちを見た。
「実は25才で結婚して寿退社して、家庭に入るのが夢だったんです。友だちとそういう話をしてて」
紀子の事が浮かんで、胸が苦しくなる。
「友だちはその夢を叶えたけど、私は無理でした」