課長に恋するまで
 課長に紀子の事を話した。

 この1年、理想を叶えようと紀子と毎週末、合コンに行ったりしてた事や、男の人に対して恋愛感情が持てない事、その事に対して自分が人間として欠陥がある気がして、実は悩んでる事を気づけば告白していた。

 悩みは誰にも話した事がなかった。
 いや、話せなかった。人と自分が違う事を口にするのは怖かった。
 お前は人間として欠落してるんだって、自分以外の人間に指摘されるのが怖いのかもしれない。

 物凄く臆病だから。

 妹みたいに親の反対を押し切って結婚するような勇気もない。
 だけど、憧れる。そういう恋がしてみたいって。

 だからこの一年、そういう相手に巡り会いたいと思って、頑張って来た。

 愛される女性になろうと、メイクや髪型や服装も研究した。
 いろんな男の人に会って、黙って話を聞き続けた。

 二人きりで会う所まで行った人は3人いた。でも、その先には行けなかった。
 3回目のデートでいつも断られる。

「一瀬さんは僕に興味がないよね」って。

 その通りだったから何も言えなかった。 
 出会った男の人に恋愛感情が持てなかった。
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