課長に恋するまで
 雨はまだ降っていた。

 コーヒーを買う時にビニール傘も一本買った。課長の分と二本買おうと思ったけど、一本しか売ってなかった。

 どうしよう。傘。

 やっぱり上司に譲るべき?

 コンビニの前で傘を広げながら悩む。

「一瀬君、タクシーまでいいですか?」

 隣に立つ課長が言った。

「え」

 なんの事を言われてるかわからなかったけど、勢いで頷いた。

 課長が私の手ごと傘を掴んだ。

 課長の指が触れた瞬間、電気が流れたみたいにビリッとした。
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