課長に恋するまで
「先輩、課長と何かありました?」
 
 昼休み、休憩室で間宮に聞かれた。
 寝坊した為、お弁当は作れず、コンビニで買ったおにぎりを食べていた。
 鈴木さんはお子さんが熱を出したのでお休みで、間宮と二人きりだ。

「別に何もないけど」

 間宮がくりんとした大きな目で睨んでくる。

「だって先輩、今日、課長の事ずっと見てましたよ」

 全く自覚がなかった。

「そんな事……ないわよ」

 間宮の問い詰めるような目と合って、語尾が弱くなる。

「穴が空くぐらい見てるように見えましたよ」

 苦笑が浮かんだ。本当に自覚がない。

「何があったんですか?」
「だから何もないって」
「もしかして課長の事好きになっちゃったんですか?」
「うっ」

 喉におにぎりが詰まった。苦しい。

「先輩、大丈夫ですか?お茶飲んで下さい」

 間宮に渡されたお茶を飲んで、何とか落ち着いた。

「大丈夫ですか?」
「何とか」

 苦しさのあまり、涙が滲んでいた。
 本当に死ぬかと思った。

「それで、どうなんです?」
 間宮がまだしつこく聞いてくる。
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