課長に恋するまで
「取って食いはしませんよ」

 笑いながら課長が言った。

「え」
「僕が怖いですか?」
「いえ、そんな事は」
「でも、凄く警戒してる。もしかして昨日の事が原因?」

 急に丁寧な言葉から親しみのある言葉遣いに変わる。
 表情も穏やかなものに変わった。

 武装解除。

 そんな言葉が当てはまる。

 今向き合ってる課長は、上司じゃなくて年上の男の人なんだ。

「一瀬君」

 課長の二重瞼の目と合う。

「はい」
「迷惑かけたとか、気にしないでいいから」
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