課長に恋するまで
「笑っちゃう程、タイプじゃないんですか?どういう人なんです?」

 ゆかりちゃんに聞かれる。
 一瀬君の顔を思い浮かべる。

「真面目な感じで、綺麗な子ですね。それで笑顔は可愛い」

 僕には笑顔を見せてくれないけど。
 休憩室で間宮君と楽しそうに笑ってるのを時々見かける。

「仕事はよくできますね。締め切りは必ず守るし、こちらが気づかない所も指摘してくれる。後は食べる事が多分好きです」

 一瀬君とファミレスで料理の話で盛り上がったのを思い出した。
 あの時は時間を忘れて話した。

「やっぱりその子の事、好きなんじゃないですか」

 ゆかりちゃんに言われる。

「いや、好きとかそういうのではありませんよ」
「絶対に上村さん、その子に気がありますよ」
「ありませんよ。年が違い過ぎます」
「その方、おいくつなんですか?」

 香織ママにまで突っ込まれる。

「二十六です」
「あら、上村さん全然釣り合うじゃないですか。ゆかりちゃんと同じ年ですよ」

 香織ママがゆかりちゃんを見る。

「私、上村さん全然OKですよ」

 ゆかりちゃんがこっちを見る。

「いやいや。無理ですよ。二十才近く違うんですから。それにこんな話してるだけで彼女に迷惑です」
「彼女って、上村さんを避けてる子?」

 ゆかりちゃんに聞かれる。

「はい」
「その子、好き避けかもしれませんよ」

 ゆかりちゃんが言った。

 スキサケ?
 なんだそれは?鮭の種類か?
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