課長に恋するまで
「ゆかりちゃん?どうして?」

 昨日クラブで会ったゆかりちゃんだ。
 まだ夢の中にいるんだろうか。

「上村さん、覚えてないの?」

 クラブで香川と酒を飲んだ。それからゆかりちゃんの彼氏の話をずっと聞いてた。
 それで閉店までいて、ゆかりちゃんがタクシーで送って欲しいと言って、タクシーに乗って、途中で気持ち悪くなって……。

 後は覚えていない。

「上村さん、気分が悪そうだったからホテルに連れ込んだの」

 あっけらかんとゆかりちゃんが言った。

「だって上村さん、タイプなんだもん」

 本気にしてはいけない。きっと。

「それで上村さんをこの部屋に連れ込んで、隣でずっと奥さんの話を聞いてました」

 何となく覚えてる。ゆかりちゃんとベッドに横になって、妻の話をした。

「次はエッチして下さいね」

 ゆかりちゃんが微笑んだ。

 次って……。
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