課長に恋するまで
 相変わらず一瀬君は仏頂面だ。
 声を掛けると、早く解放して欲しいという顔をする。

 そんなに邪険にしなくてもいいと思うが。
 嫌われてるんだろうか。

 しかし、嫌われるような事をしただろうか。

 上司として鬱陶しい存在なんだろうか。

 制服のシャツがよれよれだった事を注意した事があるが、女性にそういう事を言うのは失言だったかもしれない。

 あれから一瀬君のワイシャツはパリッとしてて、しわ一つない。
 忠告を聞き入れてくれた事は嬉しいが、その事で怒ってるようにも見える。

 頭が痛い。
 昨夜は飲み過ぎた。

 パソコンの前で頭を抱えていると、声を掛けられた。

「課長」

 視線を向けると、一瀬君が立っていた。
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