課長に恋するまで
「大丈夫ですか?」

「いえ、あの……、急に酔いが回って来て」

 一瀬君がテーブルに肘をついて、頭を抱える。

「お水をいただきましょうか」
「すみません」
 
 立ち上がろうとしたタイミングで障子戸が開いた。
 石上君と、かなえさんが入って来た。
 かなえさんが日本酒を置いてくれた。

「お水を頂けますか?」
「すぐにお持ちします」
 
 かなえさんが部屋から出て行った。

「一瀬、酔ったのか?」
 
 一瀬君の隣に座った石上君が言った。
 一瀬君が頷くと、石上君が大笑いする。

「相変わらず弱いなー。それでいて、酒好きなんだよな。課長、心配しないでいいですよ。一瀬はいつもこうなんで」
「お待たせしました」

 かなえさんが水を三つ持って来てくれた。

「かなえさん、一緒に飲もう」

 石上君が甘えるように言った。

「まだ下にお客さんがいるからダメよ」
「じゃあ、かなえさん、結婚して」

 酒に咽そうになった。
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