課長に恋するまで
忘年会と誕生日
商社マンにとって12月というのはほぼ毎日、忘年会が続く季節だ。取引先や、その関連企業、そして社内の忘年会もある。
人脈が仕事に活かされる仕事なので、優秀な商社マン程、酒の席は多い。
三週目に入ると、石上君が珍しく青白い顔をしていた。
朝帰りになる程ではないが、平日は毎日と言っていい程、午前三時帰りが続いてるらしい。
「課長、今年はきついっす」
休憩室で栄養ドリンクを飲みながら石上君が言った。
「石上君、俺もきついよ、カミさん出て行ったし」
石上君の隣にいた吉田さんが言った。
隣の課の係長で、年齢は四十才ぐらいだ。
「え!吉田係長、大丈夫なんですか!」
石上君が大げさに驚いた。
「いつもの事なんだよ。この時期は朝帰りが続くから仕方ない。この間なんて玄関に入ったと同時に戻しちゃってさ。しかも娘のランドセルの上だったから、もう、カミさんこれもん」
吉田さんが頭の上に人差し指を一本ずつ立て、鬼を表現する。
そりゃあ、奥さん、怒るだろう。
吉田さんの話を聞いて、そんな風に妻に叱られる事がなかったんだと気づき、少し寂しくなる。
まあ、飲みすぎた日は酒臭いと娘の葵に叱られたが。
「うわっ、怖いですね」
石上君が本気で怯えている。
「課長はどうですか?本社勤務になって飲み会増えましたよね?」
石上君が気遣うようにこっちを見る。
「増えたね。長野にいた時の二倍になった」
朝帰りにならないように気をつけているが、終電では帰れていない。
長野にいた時は葵が面倒を見てくれたけど、今は一人だ。
酷い時なんて、玄関で朝まで寝てる。
今夜も忘年会がある。
石上君にもらった栄養ドリンクを飲んだ。
なんとか乗り切ろう。
人脈が仕事に活かされる仕事なので、優秀な商社マン程、酒の席は多い。
三週目に入ると、石上君が珍しく青白い顔をしていた。
朝帰りになる程ではないが、平日は毎日と言っていい程、午前三時帰りが続いてるらしい。
「課長、今年はきついっす」
休憩室で栄養ドリンクを飲みながら石上君が言った。
「石上君、俺もきついよ、カミさん出て行ったし」
石上君の隣にいた吉田さんが言った。
隣の課の係長で、年齢は四十才ぐらいだ。
「え!吉田係長、大丈夫なんですか!」
石上君が大げさに驚いた。
「いつもの事なんだよ。この時期は朝帰りが続くから仕方ない。この間なんて玄関に入ったと同時に戻しちゃってさ。しかも娘のランドセルの上だったから、もう、カミさんこれもん」
吉田さんが頭の上に人差し指を一本ずつ立て、鬼を表現する。
そりゃあ、奥さん、怒るだろう。
吉田さんの話を聞いて、そんな風に妻に叱られる事がなかったんだと気づき、少し寂しくなる。
まあ、飲みすぎた日は酒臭いと娘の葵に叱られたが。
「うわっ、怖いですね」
石上君が本気で怯えている。
「課長はどうですか?本社勤務になって飲み会増えましたよね?」
石上君が気遣うようにこっちを見る。
「増えたね。長野にいた時の二倍になった」
朝帰りにならないように気をつけているが、終電では帰れていない。
長野にいた時は葵が面倒を見てくれたけど、今は一人だ。
酷い時なんて、玄関で朝まで寝てる。
今夜も忘年会がある。
石上君にもらった栄養ドリンクを飲んだ。
なんとか乗り切ろう。