扇くん、要注意報!
わたしの王子様になってください!

「昨日ね、夜空埜(よぞらの)が公園にいたの!私初めて見た、皆カッコよくてさ!」


「我らが2-1の彼があんなに整った顔してるんだから。類は友を呼ぶだよ」



耳をすまさずとも聞こえてくる「2-1の彼」は、大抵埋まらない私の前の席。



二年生にあがるまで残り一ヶ月のこと。



彼、扇 火花 (おうぎ ひばな)が先月教室に来たのは一回だけ。



不良とよばれる彼は、なんでも「夜空埜」という暴走族の総長らしい。



別世界すぎてよくわからないけれど、とにかく関わるべからず。わたしの中で“触るなキケン”のレッテルを貼っている。



銀髪の髪に、手の甲についたタトゥー、首には痕の残った傷。



この辺で有名な暴走族は彼の所属している所とは別の荒れているグループがいたらしいけれど、すぐにやっつけてしまったとか。



危ないのに気になってしまうのは、席を空けているから。



...一列目の君が来ないと先生に見つかっちゃうんだよ
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