扇くん、要注意報!

私の目も「もっと見たい」って思ったのかな。



うん、大賛成。もっともっと笑っていいのに。



「これ、今日のお礼に買った。それと同じ?」


「そう!どうして?同じお店だよね?っていうか、お礼って!私があのヤンキー君転ばせたんだし...」


「...ふ、忙しない、座りなよ。ケーキ屋は、お前がめちゃくちゃ遠回りしてったからじゃない」


「うそ!遠回り!?」


「それと、俺といなければお前が目つけられることも無かったんだよ」



確かに...そう今日を振り返りながら、今度はペットボトルではなく二つのケーキ箱を挟んでベンチの端に座った。



...ということは!



私は気づいてしまった。



今までにない有利!これなら勧誘もスムーズにいっちゃうかも!



「まあ劇はやらねえけど」


「げ...」



思いっきりバレてた。



さすがにここまで押して少しも揺るがないのはいい加減誘うのも申し訳なくなってくる。



演技がちょー下手だとか、三歩歩けば台詞忘れちゃうとか、なにかしら理由をつけて代役を頼むしかない。
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