扇くん、要注意報!
「お〜い、なに逃げてんの?こういうの、悪あがきっていうの。知ってる?」
「ま、まだ負けてませんけど!」
「はあ?こちとらあの日以外にも何人かやられてんだわ。アイツの代わりにお前が責任取れよ」
体育倉庫の前、奥の何かを出す為なのか綱引き用の綱やらサッカーボールの箱が外に出ていた。
ついに追い詰められて、それでも逃げるように下を向く。
ううう顔怖あ...その傷どうやってついたの?扇くんじゃないよね?
人のいる場所からは遠くて、先生ですらも呼べそうにない。
咲は今頃教室で待っているのに。朝にやるはずだった最後の練習は出来そうにない。
追い詰められるごとに心はどんどん小さくなる。目に溜まっている涙を零してしまいたくなる。
...でも、私は知ってる。ボロボロで偽物のお姫様でも、見つけてくれる人はいるって。
「───ねえ、何してんの?」
ね?来てくれるに決まってるじゃん、王子様