扇くん、要注意報!
実はほんの少し思ってたの。劇の中の王子様と、扇くんは似てるって。
誰からどう思われても気にしない、伝わらなくてもいいって思ってるところだとか、他の人よりも多く優しさを持っているのに上手く隠しちゃうところも。
そんなこと本人の前ではとても言えない。
でも、少しでも伝わればいい。
「大好きなの!あの人から手を離したくない
お礼にってケーキをくれたり、好きな食べ物はマカロン、意外でしょう?」
「ケーキ...?(セリフ違うね??)」
「それに、あなた達の事も同じくらい大好きなの。心配かけさせたくないのに、彼を否定されるのは悲しい
ごめんなさい、私はあなた達のことも王子様のことも諦められない」
自分のセリフが途切れた瞬間、今更緊張が全身をつたう。
力の入った手はドレスの裾とともに汗を握っている。
...聞かれてる?聞かれてるよね
扇くんのことだよって言ったら驚くかな?最初からわかっちゃってたりして
そしたら次こそ扇くんに好きって伝えて...
「───姫、迎えに来ました」