扇くん、要注意報!

「君のためなら自分を変えたいと思うんだ。君の大切な人たちを大切にしたい
...それまで待っていてもらえないだろうか」



お姫様の友人たち、そして王子様が来ているとの噂を聞いて見に来た住人たちは、お姫様への想いを知り、優しい拍手で二人を包んだのだ。



いつどこで練習したんだと問い詰めたくなるほど、扇くんは王子様だった。



心臓、うるさい。扇くんの声聞こえないじゃない...



───セットが変わって最後のシーン、頑張って頑張った王子様は無事にお姫様に気持ちを告げる。



そして、キスシーンがある。



もちろんするフリ、手で上手く隠れるようにやるんだし、そう思ってはいるけれど。



さっきしたじゃん!手に、手にちゅって!



まだあの熱は冷めそうになくて。セット交換のあいだ、熱さを保ったその手をじっと見つめていた。



あれだよ、帽子を被って外しても感覚が残ってる感じ。メガネの重みが鼻に乗っかってる感じ!



ずっと扇くんの余韻が残る。



だめ、扇くんのことしか考えられない...
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