扇くん、要注意報!
そんな顔を合わせずらい気持ちが隅っこにあるけれど、それ以上に彼に会いたい。
バクバク心臓がうるさくて、多分扇くんに会ったらもっと大きくなる。
...私のこともそんな風に想ってくれるかな?
「苺」
漢字で表すには柔らかすぎてほろりと溢れそうな温度。優しい低さ。
振り返った先にいる彼は、練乳でもかかっているんじゃないかってくらいに、甘ったるい顔で見つめている。
立ち上がる仕草でさえ目に留めておきたいって思うんだよ
すき、好き、もうすっごい好き...
「好きです」
「...っ私も好き!」
嬉しさと好きがあふれて抱きついた。
俺今すげえ王子様っぽい、と雰囲気なんてお構い無しにおどけて笑うから、私もつられて笑ってしまう。
変なの、前後の席でしかなかったのに、こんなに近くなるなんて。
火花は私に顔を近づけ、親指で涙の溜まった目尻をぬぐった。
やっぱり演技みたいに格好はつかなくて、彼とくっついているだけで震えてしまう。
でも全然嫌じゃない。