扇くん、要注意報!
「はは、よく一人で勝てると思ったね?次はもっと連れてこいよ」
王子様用の台本を渡そうとここに来たものの、二番手に来たこの人が扇くんに喧嘩を挑んだのが数十秒前。
おかげで喧嘩中に衣装のラフを見せることになった。
うわあ、怒りマーク増えてるじゃん!
イライラする劇の勧誘に、喧嘩、プラスして横槍を入れられた、っていう不機嫌頂点男。
これはもうだめだ、諦めるしかない。こんな状態でオッケーしてくれる未来が見えない。
主役といっても発するのは一言二言だし、まだ練習間に合うでしょ!許容範囲...!うんうん、大丈夫!
また明日誘いに行こう
ついに諦めて、A4のスケッチブックを畳みリュックに詰めようとした時だった。
電灯の明かりが私の周りだけ遮られていることに気づいて、上を向く。
「扇火花のオンナ?人質決定〜」
「はわ...」
白い特攻服。扇くんとは違うチーム。
扇くんより遥かに多いタトゥーとか、ガタイのいい体、色んな場所に空いたピアス、怖い要素しか無かった。