星の降る夜、音のない世界で、君の声を
「はやっ、マジで」

空っぽになった焼肉弁当を、やや馬鹿にするように、再び彼が口を開いた。私は食べ終わったお弁当にお箸を放り込みながら、彼を睨みあげた。

「な、何なのよ、さっきから、人を馬鹿にして!」

「別に馬鹿にしてねーよ。ただ食ったら早く帰ってくんない?」

「な、何様なの?」

「ここ、先着順だろ、今日は俺が早かったんだからさ。一人で読みたいんだよね、気が散るから」

「……むかつく」

「ほかに何か?」

さっき無視したことなど、何とも思ってないように、自分勝手な話を押し付ける無神経な態度に腹が立つ。

「もういいっ!」

私は、乱雑にコンビニ袋に弁当を突っ込んで、ゴミ箱に捨て、足早に公園を後にする。僅かに後ろから声が聞こえた気がしたが、私は、振り返らずに走って帰った。

(むかつく、むかつく、むかつく……)
< 7 / 21 >

この作品をシェア

pagetop