星の降る夜、音のない世界で、君の声を
いつもより早く帰ってきても、案の定いつも通り、誰もいない家は、私が明かりを灯さないと真っ暗で、なんだか心まで暗く染まって、苦しくなりそうだった。    

この辺りだと周りに遮蔽物がない、あの公園のあのベンチが一番綺麗に星が見える。今までもよく、寂しさに押しつぶされそうになるたびに、あのスチールベンチに一人座って星座の本を片手に星を眺めた。

本当は今日、あのベンチに座って星を見ながら確認したい事があった。

『手紙』……置いてあったかも知れなかったのに。

自室の2階の窓から夜空を見上げながら、鞄に入れておいた星座の本を取り出そうとして気づく。入れておいたはずの星座の本は鞄の底まで、覗き込んでも出てこない。十年ほど前に、両親におねだりして買ってもらったポケットサイズの星座の本。

お気に入りだったのに……落とした……?何処に?さっき公園で慌てて帰った時に落としたのかもしれない。でも……他で落としたのかもしれない。明日見に行ってみよう。部屋の窓からは端っこしか見えなかったけど、しし座の尻尾が、ちょうど見えて、少しだけ心があったかくなった。

私は、寂しい心を隠すように、膝を抱えて毛布にくるまると、瞳を閉じた。
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