僕の素顔を君に捧ぐ
悲しみに寄り添うのは
その後のニュースで、アパートが全焼したことが伝えられ、焼け跡からは遺体が見つかり、春江さんの死亡が確認されたこと、出火元は春江さんのガスコンロで、消し忘れが原因という説明があった。
住まいを失った優花は、如月の自宅に身を寄せることになり、書斎を寝室として貸し与えられた。
数日後、優花の後任の家政婦から火事の一件を訊いた水野洋子が、自社で販売している衣類を、当面の間必要な分だけ送ってくれた。
優花は如月のもとで家事代行を続けながら、消防からの聴取、保険の手続きなどひと通り終えた。
優花の顔からは、笑顔が消えた。
如月が細かい注意をしても、優花は表情一つ変えずに淡々と仕事を機械のようにこなす日々が続いた。