初めては好きな人と。
熱っぽい護の目に見つめられて、私の胸がどくどくと騒ぎ出す。
「うそ…」
「嘘じゃないよ。…こんな、美月が弱ってる時に言うのもどうかと思ったけど…、今回のことがあって痛感した。これから先、美月のそばにいて、君を守りたい」
信じられない。
夢みたい…。
「い、いいの…?私なんかが護のそばにいても…」
「美月が良いんだ、美月じゃないとダメなんだ」
「嬉しい…私も護が好き。護のそばにいたい」
言い終わらないうちに、護が私を抱きしめる。そして、「はぁ~~~」っと大きく息を吐いた。
「断られたらどうしようかと思った…」
護の胸に頬を寄せると、ぬくもりと一緒に彼の少し早い鼓動を感じる。護もちょっとはドキドキしてくれてたのかな。そう思うとすごく嬉しかった。
「私、護が施設を出て行ってからも、ずっと忘れられなかったんだよ。護は、私の初恋の人なんだから」
「それ本当?俺もだよ、美月。22年間生きてきた中で好きになったのは美月だけなんだ」
「う、うそ、そんなの信じられない」
あんまりびっくりして、私は顔をあげた。
「本当だよ…、俺、美月のこと忘れられなくて、恥ずかしいけど…今まで誰かと付き合ったことだってないんだ」
言葉の通り恥ずかしそうにそう言う護は、嘘を言っている様には見えない。
「だから」
護の手が伸びてきて、私の頬に添えられる。
「キスだって…、したことないんだよ」
その鳶色の瞳に見惚れていると、護の顔がゆっくりと近づいて視界が暗くなり、柔らかな感触が唇に置かれる。
それが、キスだと遅れて理解した時には、ぬくもりはすでに離れていた。
「わ、私も…、今のが初めて…」
「美月の初めてをもらえて嬉しい」
まさか、初恋が実るなんて。
大好きな護が私をずっと好きでいてくれたなんて。
予想をはるか超えた出来事に、嬉しさがこみ上げてくる。
幸せ過ぎて、死んじゃいそうだよ。
「じゃぁ、二人でベッドで寝ようか」
「う、うん」
も、もしかして、キスの先もあるのかな…。
そんなことが頭を過ぎって、ドキドキが止まらない。
「安心して、今日は襲ったりしないから」
「えっ、おっおそっ…えっ…!?」
「はは、美月顔真っ赤」
「だ、だってぇ…!もう、護のばか!知らない!一緒に寝てあげないから!」
「ごめん、許してって」
その夜、結局護に押し切られて一緒のベッドで寝ることになった。ふかふかのベッドと護のぬくもりに包まれた私は、疲れもあったせいか瞼を閉じると瞬く間に眠りに落ちていった。