初めては好きな人と。

 こんな感覚、私は知らない。

「んぁ…、ふ、んん、あ、」

 腰が立っていられなくて、私は逃げるようにソファに背中を預けるも、護が追いかけて覆いかぶさる。部屋の中に、互いの息遣いと私の声だけが響いていた。

「美月」
「ん…」
「美月、好きだ」

 キスの合間に、護が私の名前を呼びながらそう言った。

「わたしも…好き、大好き」

 私を求めてくれる護に少しでも応えたくて、無我夢中でしがみつく。ワイシャツが皺になるなんて、気にする余裕なんてなかった。

 もっと、もっと、求めてほしい。護を感じたい、全身で。

 そんなはしたない思いが私を埋め尽くす。

 なのに、護は、私を抱きしめてキスを止めてしまった。しばらくソファと護に挟まれて重みを感じていると、申し訳なさそうに護が口を開く。

「ご、ごめん、美月。がっつきすぎた…。今は休めって言ったばっかりなのに…理性吹っ飛びかけた」
「う、ううん、大丈夫…だから、気にしないで…」
「ホントごめん。俺、奥の部屋で仕事してくるけど、何かあれば呼んで?」

 部屋にあるものは好きにしていいから、と一言だけ残して護は仕事部屋に姿を消してしまう。

 は、はずかしい…!
 理性が吹っ飛んだのは、私だ。

 今になって、恥ずかしさがこみ上げてきて、私は自分の顔を両手で覆った。




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