初めては好きな人と。
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その日のお昼に社長に電話で、私からも改めて謝罪を入れておいた。
社長はまた平謝りで、本当に心配してくれていて有休も消化出来ていないから、と2週間の休暇をもらってしまった。
当面の間、必要な下着や洋服、日用品などは柿田さんが用意してくれたので不自由することはなかった。
やっぱり、まだアパートには戻りたなくて、私はみんなの好意に甘えて護の家でゆったりとした時間を過ごしている。
病院に行ったほうが良いかもしれない、と周りから勧められたけれど、護のそばにいることが何よりの治療薬だと私は感じていた。
事実、護のそばにいられることは私をとても穏やかな気持ちにしてくれたし、護が私をとても大切に扱ってくれるのがわかるほど、幸せだった。
だけれど…、一緒に暮らして彼のそばにいるうちに、知りたくなかった事実が浮上する。
それは、護と柿田さんの親密さだ。
秘書なのだから致し方ないのは、私だって重々承知しているつもりなのだけど、それにしても仲が良いというか、距離感が近い。
護と暮らし始めてからこの方1週間ちょっと、護に頼まれて家を訪れている柿田さん。始めの頃は、私の事件のこともあり必要以上の会話はなかったのだけど、ここ最近、私にもとてもフレンドリーに話しかけてくれて話し相手になってくれているのはとても嬉しい。
だけど、それに伴って、恐らく普段の二人のやり取りがにじみ出ているのだと思うけれど、私が見ていないと思っているのか、こしょこしょ話やスキンシップ、二人にしか通じない話題など、私には入り込めない「二人」が垣間見えて、そのたびに胸がもやもやしていた。