あの頃からあなただけが好きでした

 え? これって……ブレナーは俺以外のヤツとも付き合える、とか言ってるのか?

 俺がカチンと来た事に、ブレナーが喜んだのがわかる。
 こいつ、さっきまで眠そうにしてたくせに。 
 俺が焼きもちを妬くと、昔から喜ぶのだ。


「はっきり本人から振られた訳じゃなくて。
 何年後かに会いに行っても、また話せなくて。
 俺にとったらお前が本当の初恋だから、そんな状態だったら。
 誰と付き合っても、お前の事はなかなか思いきれないな」

「でも、クレアとの婚約パーティーだって開く
のに?」

「今はまだ婚約する前、だろ?」


 俺の髪を長い指でかきあげながら、ブレナーは
瞳を覗き込んできた。


「マリオンが誰とも婚約してない事を知った。
 お前には俺と言う夫が居る事も知った。
 だから、昔の話を今になってマリオンにした
んだろう、と思う。
 婚約前の最後のあがき」

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