あの頃からあなただけが好きでした
 
 マリオンを傷付ける悦びよりも、カーティスへの怒りから。
 私は調子に乗ったのかも知れない。


『来月婚約披露パーティーを開く』
『来年結婚する』


 次々に偽りの言葉を紡いだ。
 カーティスは無言だった。
 今更、マリオンに嘘だと言えないのだ。
 私の恋人として、マリオンに会いに来たから。


 ざまあみろと思った。
 気が付けば……スコットと婚約した(と嘘を吐いた)マリオンに。
 ブライズメイドになって欲しい、と言っていた。



 隣でずっと黙っていたカーティスが、私の方を一瞥したのを感じた。


「クレア、俺とオーブリー嬢は幼馴染みっていう程付き合いは長くないから、その理由は彼女に対して申し訳ないよ」


 彼は私に対して、怒りを圧し殺そうと懸命だった。
 怒りだろうが、憎しみだろうが、彼からこんなに強い感情を向けられたのが初めてで。
 それだけでも、この瞬間に価値があると思った。


 心配しなくても、マリオンは断るわよ。
 こんなにプライドの高いこの女が、私のブライズメイドなんて受けるわけないでしょ?
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