あの頃からあなただけが好きでした
カーティス16歳
マリオン・オーブリーが好きだった。
茶色の髪に茶色の瞳。
そんなに目立つ女の子ではないのに。
いつの間にか彼女と過ごす時間が楽しくて。
俺は自分の気持ちに気付いた。
最初は兄に頼まれたからだ。
兄はマリオンの姉のジュリアと卒業後も続いていたが、学生の頃のように自由に会える訳じゃなくなった。
それで入れ違いに入学した俺に、ジュリアへの
手紙を言付けた。
彼女の妹のマリオンに渡してくれと。
入学して少し落ち着いた頃、彼女のクラスに行って呼び出して貰った。
知らない俺に呼び出されて訝しげなマリオンを
中庭に誘った。
皆が俺達をじっと見ていた。
この場で兄からの手紙なんか取り出したら、曲解されてどんな噂になるかわかったものじゃない。
それならまだ、『ふたりで話した』程度な噂の方がマシだと思ったからだ。
姉のジュリアからは、キーナンの話も聞いていないのか、と気付いた。
それで俺が自己紹介を兼ねて、事情を説明すると、マリオンは納得したように笑った。