あの頃からあなただけが好きでした

「チラッと挨拶に行ったんだけど……
 バルモア一族、何か暗くて。
 貴女達も挨拶やお祝いは始まってからでいいんじゃない」

「クレアとご両親が入口に立とうとしたら、彼のご両親からどうして、とか言われたのが聞こえたの」

「どうして、って……婚約者でしょ?」

「ねえ、これってホントに婚約パーティーなの?」

「あっちには、昔からのクレアの王都の友達も来てるみたいなんだけど、クレアから招待された私達、何か浮いてるみたい」


 もうすぐ開始時間だけれど。
 会場のキャパシティの割にゲストが多い気がする。
 いくら立食形式とは言え、少し多すぎる様な。


 座れるようなソファや椅子は既に埋まっていて、後から来た私達は立ったままだ。


 私達の後を横切っていった男性が入口に立つ尻軽男に話しかけていた。
 あっち側から来たと言うことは、クレアの関係者なのかな。



「ここは美味しいらしいから、パパッと食べて出ようよ」

「そうだね」


 さすが、大学の友人達はよく似たタイプが多い。
 このメンバーで集まるのも久しぶりなので、次の店に早々に移動だ。
 皆で目と目を合わせて、笑った。


 その時、ものすごい勢いで、クレアがこっちにやって来た。

 そしてマリオンを見つけるなり、彼女の腕を掴んだ。

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