あの頃からあなただけが好きでした
確かにブルーベルは誰もが振り返るような美形の男だが。
クレアには他に付き合っている男が居て。
そいつと別れたくないのなら、どうしてその男を連れてこない?
家族をこんな偽りの場に連れてきて。
事情を知らない両親や俺に恥をかかせて。
席に戻って、従兄弟と話しているクレアの腕を掴んで立ち上がらせた。
「痛いわ、キースどうしたの?」
「偽装って何だ?」
「え、な何……」
「聞いたぞ、カーティス・ブルーベルから。
お前とは偽装、だって?」
「……」
「何の茶番だ?
あれはお前が用意した指輪だろ?
あいつには他に愛する女が居る、って……」
「キース、もういい!」
父が立ち上がって、俺達の所に来た。
「帰るぞ、クレア」
父が俺からクレアの手を取ろうとしたが、クレアは父の手を振り払った。
「嫌よ! 私はカーティスと婚約するの!
邪魔はさせないわよ!」