あの頃からあなただけが好きでした
キース30歳②
周囲の招待客や親族が全員俺達を見ていた。
クレアは泣きそうな顔でブルーベル達が居る入口に目をやって、いきなり走り出した。
慌てて妹を止めようとしたが、一歩遅れてしまった。
既に店内は招待客や給仕の者でごった返していてそんな中で、人にぶつかりながら進むクレアは
異常だった。
そして立っていた集団の中に居た女性に、何事か叫んで掴みかかったのが、かろうじて見えた。
『ここでこれ以上、騒ぎを起こすつもりか!』
頭のおかしな妹にいささかげんなりして、周囲に頭を下げながらクレアを止めようとして。
次に俺が見たのは、妹がわめいている男に腕を掴まれている姿だ。
興奮している男が何かを振り上げ、クレアの頭上に煌めく物が見えた、と思ったら。
クレアの短い叫び声が聞こえ、周りの悲鳴や怒号にかき消された。