あの頃からあなただけが好きでした

 卒業したキーナンは商会の見習いとして忙しくしていた。


 俺は来週から出店調査のために王都へ行く父に同行することを許して貰った。


「調査なんて大層なこと言って、遊びに行くだけだろ」


 キーナンから羨ましそうに言われた。


「王都で流行っている女性向けの小物を見繕ってきてくれ」


 キーナンからまとまった額のお金を託された。
 貴族のお嬢様が恋人だとお金がかかる、と言いながら、それでもキーナンは嬉しそうだった。

 兄がいつ両親に、ジュリアの事を話せるのか。
 それは遠くない未来だと思った。



 ……そうなったら。
 俺とマリオンはどんな間柄になるのかな。
 マリオンの方が誕生日が早いから、義理の姉弟?

 その日が来るのが楽しみなようで。
 だが姉弟というのが引っ掛かった。


 それにもし、ジュリアがウチに嫁入りするなら。
 マリオンがオーブリー子爵家の跡取りになる、と言うこと……
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