あの頃からあなただけが好きでした
 そこへ連絡を受けた王都警察隊がなだれ込んで
きた。
 ようやくクレアは病院へ運ばれる。


 隊員にクレアを預けると、妻のシルビアと兄嫁のステラが付き添うように店から消えた。
 ふたりともこの場に居たくないのがわかる。


 父がそれを見送って俺に言った。


「あの男、薄い茶色の目をしていた。
 あの指輪の送り主はあいつだ」


 ブルーベルから聞いたガーランドに居るはずの
クレアの交際相手。
 そいつがここまで来て、自分を裏切ったクレアを刺したのだ。


 警察隊員が俺達のところにやって来る。


「被害者のご家族の方でしょうか?」

「はい……クレアの父と兄です」

「事情をお聞かせ願いたいのです。
 警察本部までご足労お願い致します」


 俺の方が詳しいだろうと、この場をアダムに任せることにした。

 貧乏クジを引く羽目になった兄には申し訳なかった。
 この場に残されて、他のゲストや親戚に何と説明すればいいのか。

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