あの頃からあなただけが好きでした
マリオン24歳⑩
カーティスとクレアが恋人ではなかったのだ、とわかって嬉しいはずなのに。
3人で会った夜のクレアを思い浮かべると、カーティスに協力した偽装だった、なんて信じられなかった。
彼女は私を睨んでいたし、腹を立てていた。
それに今日だって、トリシアが教えてくれたクレアの言葉は
『しゃしゃり出てくるな』だった。
つまり私は、彼女にとって邪魔だった?
そんなクレアに本当の恋人が居た?
あのクレアを襲った人が本当の恋人だったなんて、それこそ本当なの?
考え込んだ私にブレナーが尋ねた。
「またマリオンはあれこれ考えちゃってます、って感じだな?
アイツからは何も言われていないの?」
「教会の帰りに会った時、君は俺の運命だ、とかは言われた」
あの日、あの公園で、彼は立ち上がった私を見つめて。
『どんな形であれ、君は運命のひとだから』
そう、カーティスに言われたけれど。
言われたと、話すそばから気恥ずかしい。
絶対、スコットなら爆笑してる。
聞かされたブレナーは……
良かった、笑ってない。
ブレナーの手が、私の頭をわしゃわしゃする。
彼からはよく私の事を昔飼っていた子犬に似ていると言われて、かき混ぜるように頭を撫でられた。
「そこまで言われて、何が足りない?
ずっと追いかけられたくて、わざと引き伸ばしてる?
駆け引きしている余裕があるんだ?」
「駆け引きなんて、そんな事してないよ!」
「じゃあもう、アイツの言う運命ってヤツに飛び込めよ」