あの頃からあなただけが好きでした
『アイツの手を離して、後悔しない?』
『彼は君の運命の相手じゃないかな』
俺の悪魔の囁きは、あの男の胸に飛び込む勇気をマリオンに与えた。
彼女が欲していたセリフを、言ってやっただけだ。
誰かがそう言って後押ししてやらないと、動けないヒロインぶった女。
邪魔な女だ、といつも思っていた。
大学でスコットが親しくなって、どうやったのか俺達の秘密まで打ち明けさせて、こっちの懐に
入ってきた女。
俺達の間に割り込んでは来ないが、スコットの
隣にいつも居る女だった。
お互いの誕生日やクリスマスや、そんな俺達の
記念日にいつも居て、家族みたいな顔をしていた。
俺は本当に、マリオン・オーブリーが邪魔だったんだ。
俺が夜勤の日は、5回に1回スコットとマリオンは夕食を共にしていた。
ふたりの間に今まで何もないとは信じてるが、
やはり気分のいいものじゃない。