あの頃からあなただけが好きでした

 ううっ、カーティスの案内で王都巡りしたい!

 だけど、自分の将来の為に大学見学は絶対にしておきたい切実な問題だ。
 私は修学旅行の後、進学したいと父を説得し、受験勉強を始めなくてはならない。



 貴族という特権階級は昔の話。
 父がすがり付いているものは、多分近い内に意味をなさなくなる。



「大学の見学に行きたくて」

「マリオンは王都の大学に行くの?」

「……出来たら、だけど」


 無理に決まっているだろ、と。
 カーティスに笑われるかと思っていたけれど、彼は真面目な顔をしてクスリともしなかった。



「じゃあ、先に下見して、色々調べないとな」

「色々って……」

「大学に通うなら、住む場所の家賃や環境も調べとかないとダメだろ。
 俺も情報収集手伝うよ」

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