あの頃からあなただけが好きでした

 オーブリー子爵家の経済状況の話は、何度か
マリオンからも聞いていた。

 家計を圧迫する進学が、父親から歓迎されない
のは彼女自身が一番わかっている。



 やはり来年の冬休暇、マリオンが受験する前に。
 俺は王都で部屋を探すことにした。


 優秀な成績を維持する為にも。
 勉強に専念して貰いたいから。
 今は友人で我慢する。

 だけど、卒業式の前には告白して、何とか恋人になって貰う。



 そして春から王都でふたりで暮らそう。
 彼女の生活費が少しでも楽になるように。
 俺と住んだら、働かなくても大丈夫だ。

 大学での成績が優秀なら、(全額は無理でも)
 学費半額免除もあるみたいだし、そうなれば
奨学金返済だって楽になる。


 俺がマリオンを支えるから。


 ケーキを美味しそうに食べているマリオンに、俺は心の中で約束した。




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