あの頃からあなただけが好きでした
マリオン24歳③
あれからどうやって、自分の部屋に戻ってきた
のか、覚えていない。
酔っていたからじゃない。
お酒は既に私の身体からは抜けていた。
……カーティス・ブルーベルをクレアの恋人だと引き合わされた瞬間から。
苦痛と悪寒と空しさと。
色々ごちゃ混ぜな世界に放り込まれたまま、帰路に着いた私だった。
「お疲れ様でした!
私はここで失礼します。
こちらの事はお気になさらず、おふたりは何処へなりとも……」
これ、普通に言えてた?
それさえも覚えていない。
『婚約披露パーティーにも絶対に来てね』と、私に抱きつこうとしたクレアを躱したことは覚えている。
『時間も遅いので、送りましょう』と、店の前でカーティスに言われたが、手だけ振って別れたのも覚えている。
治安のいいところを探そうな、と笑った17歳の貴方のことも覚えているのに。