あの頃からあなただけが好きでした
「お姉さんにはまだ内緒にしてて欲しいんだけどキーナンは先月に王都へ行った時に、指輪を買ってる」
「指輪を!
じゃあ、じゃあ……」
「俺達が姉弟になる日も近かったりして」
時間が取れなくて手紙の量は減ったかもしれないけれど、ジュリアとのデートは
『月1回は死守する』と、カーティスに話したそうだ。
ジュリアの、その月に1度のデートにかける意気込みはいつも凄くて、それだけ好きなら早く
キーナンさんの胸に飛び込めばいい、と思うのだが。
貧乏子爵家でも、婿入りの縁談を持ってきてくれる人は居て。
今にも父に無理矢理にでも、縁付けられてしまいそうな気がする。
それなのに、幼い頃から家を継ぐのだと言い聞かされていたジュリアは中々行動出来ないようだった。
だがカーティスの話が本当なら、とうとうキーナンさんはプロポーズをするつもりだ。
「自分の好きなものを諦めなくていい貴女が羨ましい」